タナトスの蛹─6th instar. モザイクの解剖
成人向けの表現を含みます。パスワードは「例の数字三桁」×「2023年現在の成人年齢」です。
再録Jujutsu-Kaisen,まひよし,レゾ,吉野順平,夏油傑,悠順,真人,虎杖悠仁
タナトスの蛹─4th instar. 恋は盲目/恋は猛毒
成人向けの表現を含みます。パスワードは「例の数字三桁」×「2023年現在の成人年齢」です。
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午前10時のユウレイクラゲ─07.この世にたった一人だけ
──記憶があるのは幸せなことだろうか。記憶があるから生きられるのだろうか。 無機質な灰色の天井。空調から吹く風にかすかに揺れるカーテン。悠仁は高専の医務室で目を覚ました。そっと両瞼が開けられ、ベッド脇に座っていた七海と目が合う。「起きまし…
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午前10時のユウレイクラゲ─06.夢の終わりのばちあたり
なめらかな闇が訪れる。数秒の間を置いて、正面のスクリーンにどこかの教室が映し出された。カメラの視点は低く、おそらくは机に固定されている。椅子には誰も座っていない。画面奥がカーテンが揺れている。その更に奥、外へ続く窓からヒグラシの鳴き声がし…
再録Jujutsu-Kaisen,伊藤翔太,吉野順平,虎杖悠仁,順悠
午前10時のユウレイクラゲ─05.もしもともしもの交差点
「宿儺は映画館ははじめてだったりする? 面白いよ。俺たちは座ってるだけでいい」 真人は座席に深く腰かける。館内は明るく、スクリーンにもなにも映っていない。どうやら上映(プログラム)がひとつ終わったタイミングのようで、足元には前の客が残した…
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午前10時のユウレイクラゲ─04.まどろみパラレル叙述伝
ひっそりと夜が明け、朝焼けの光が窓に差し込んでくる。薄紫に染め上げられた部屋。質素な家具と、床には中身が入ったままの段ボールが二箱。ハンガーにかけられた黒い制服には埃ひとつ付いていない。 丸く膨らんだ布団はかすかに上下し、深い寝息を立て…
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午前10時のユウレイクラゲ─03.名無草、根無言、蛻の夏
なんだと思う、と質問で返された。「図鑑ですか」「うん、そう」 足元には分厚く重そうな本がどっさりと積まれていた。動物、植物、天文、気象、鉱物。専門的な学術に用いるような形式ばったものから、子供向けに柔らかい口調と振り仮名が使われたものなど…
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午前10時のユウレイクラゲ─02.おろかものたちの不文律
「あ、」 「……あ」 白い煙を吐く口もとに、タバコを持った指先。しまった、とお互いに思ったのか、場の空気が凍りつく。校舎裏になど誰も来ないとたかを括っていたのだろう、伊藤はジッと順平を見つめ返した。 「なにしに来た?」 「椅子を借りにだよ…
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午前10時のユウレイクラゲ─01.この世にたった二人だけ
からっぽのきみにクラゲを住まわせるこの手のなかは夢のうなばら 記憶の中の実家はいつも空っぽだった。鍵を差し込んでぐるりと回す。無機質な金属の音。ただいま、というセリフも…
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おもかげさがし
右手でタバコをくわえ、ポケットからライターを取り出し、点火して一呼吸目。伊藤は白く濁った煙を吐きながら、コンビニの裏手口の壁にもたれかかる。寒さで白くなる息とは違う、不透明で淀んだ白。片腕だけで生活するのにもずいぶん慣れてしまった。もう三…
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