ジャックアトラス

溶暗

溶暗 fade-out

 蓋を回し開けるとコーヒーの香りが鼻をかすめた。だいたいこんなものだろう、とスプーンで大雑把にそれを掬い、まだ空の水筒へざらざらと落としていく。 コンロに掛けた二種類の小鍋が丁度沸いた。片方はお湯で、もう片方は牛乳だ。この牛乳特有の乳臭さが…